ピーク時と比較すると減少傾向にありますが,依然として件数が多いのが債務整理事件です。
昨年の取扱事件の2割以上を占めました。
2~3年前までは過払い金請求事件が主流でしたが,最近では,自己破産事件が増加しています。
主に,次のような手続があります。
破産手続
債務整理における最もスタンダードな手続です。
免責が認められると債務全額の支払義務がなくなるというメリットがありますが,破産の時点で保有していた財産を手放さなければならないというデメリットがあります。但し,現金等については,99万円までは手元に残しておくことが認められています。
民事再生手続
債務総額の1~3割程度を3~5年の分割払いで弁済し,残りの債務について免除を受ける手続です。
債務の一部を弁済する必要がありますが,自宅などの手放したくない財産を残しておくことができます(但し,自宅を手放さない場合,住宅ローンは全額弁済する必要があります)。
任意整理手続
債権者と個別に交渉し,弁済額の減額や支払期間の延長を求める手続です。
年利18パーセント以上の高金利を長年支払ってきた方の場合,払いすぎた金利を「過払い金」として返してもらえることもあります。
刑事事件は,中西が,最も関心を持って取り組んでいる分野の一つです。裁判員裁判の対象となる重大事件や,事実関係に争いのある否認事件などにも積極的に取り組んでいます。一昨年よりも取扱件数が増え,昨年の取扱事件の2割以上を占めました。
刑事事件は,民事事件と比べて手続が早く進んでいきます。少しでも早くご相談いただければ,選択肢の幅が広がります。
刑事事件には,次のような分野があります。
捜査弁護
警察に逮捕され,取調べを受けている段階の弁護活動です。
罪を認めている事件(自白事件)の場合は早期の示談や釈放を目指す活動,事実関係に争いのある事件(否認事件)の場合は意に反する調書を作成されないための活動を中心に行います。
公判弁護
裁判所に起訴された後の段階の弁護活動です。
自白事件の場合は依頼者にとって有利な処分(執行猶予や刑の減軽など)を目指す活動,否認事件の場合は無罪を目指す活動を中心に行います。
少年事件
非行を行った未成年の方は,家庭裁判所で少年審判を受けることになります。少年審判で,付添人として,依頼者のサポートをします。
告訴・告発
犯罪の被害に遭った方が,警察や検察庁に,犯罪の捜査と犯人の処罰を求める手続です。
貸金や売掛金,工事代金等の請負代金,交通事故や契約違反等による損害賠償金,慰謝料などを請求したい,
または請求された,という事件です。
債務整理事件・刑事事件と並び,昨年の取扱事件の2割以上を占めました。
建築関係のトラブルやソフトウェアの欠陥に関するトラブルなど,専門的な内容の事件も取り扱っています。
次のような手続があります。
交渉
裁判所などの機関を利用せずに,直接,相手方と交渉を行います。
事実関係に争いがなく,ある程度相手方に譲歩してもよい,という状況であれば早期の解決が期待できますが,
これらの条件が整わない場合は,調停や訴訟に移行する可能性が高いと思われます。
調停など
裁判所や弁護士会の紛争解決センターを利用し,第三者の立ち会いの下で話し合いを進める手続です。
交渉と比べると,時間がかかることが多い一方,話し合いがまとまる可能性は高くなります。
しかし,事実関係に深刻な争いがある場合や,相手方に対して譲歩できる余地が少ないという状況の場合は,
訴訟に移行する可能性が高いと思われます。
訴訟
裁判所で正式な裁判を行う手続です。
交渉や調停と比べると,時間や費用がかかりますが,事実関係について深刻な争いがある場合や,
相手方との意見の食い違いが大きい場合には,最も適した手続です。
強制執行
調停や判決で決められた金銭を相手方が支払わない場合は,相手方の財産を差し押さえるための強制執行手続が必要になります。
離婚や男女関係に関する事件は,最近増加傾向にあります。昨年の取扱事件のうち,1割以上を占めました。依頼者の性別は,男女同数くらいでした。
離婚や男女関係に関する事件には,次のようなものがあります。
離婚
配偶者と離婚したい,あるいは,離婚を求められているが離婚したくない,という内容の事件です。
離婚とあわせて,慰謝料の支払いや財産分与,子どもの親権や養育費が問題となります。
まず,家庭裁判所の調停で話し合いを行い,話し合いがまとまらない場合は訴訟に移ります。
養育費の増額・減額
離婚の際に取り決めをした子どもの養育費の金額を増やしてほしい,または減らしてほしいという内容の事件です。
まず,家庭裁判所の調停で話し合いを行い,話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所の審判手続で妥当な金額を決めてもらいます。
子どもとの面会
離れて暮らしている子どもに会わせてほしい,という請求をする事件です。
まず,家庭裁判所の調停で話し合いを行い,話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所の審判手続で面会できるかどうかや,面会をする場合の条件を決めてもらいます。
子どもの引渡
別居中の配偶者や元配偶者が,子どもを自分の家に連れて帰ってしまい,返してもらえないなどという内容の事件です。
まず,家庭裁判所の調停で話し合いを行い,話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所の審判手続で,どちらが今後子どもを育てていくことになるかを決めてもらいます。
不貞行為の慰謝料請求
配偶者の不貞行為(浮気)の相手方に対し,慰謝料を請求する事件です。手続は,金銭請求事件と同じです。
様々な理由で財産の管理ができなくなった方に代わり,財産の管理を行う事件です。
財産管理に関する事件には,次のようなものがあります。
成年後見事件
高齢や精神障がいのために判断能力が低下し,自分の財産を十分に管理できなくなってしまった方に代わり,財産の管理を行います。
特に,高齢者の方の財産が搾取されているといった,「経済的虐待」のケースでは有効です。
不在者財産管理人
行方不明となってしまった方の財産を管理します。
相続財産管理人
お亡くなりになった方に,相続人がいない場合,遺産を管理し,特別な関係にあった方や国に財産を引き継ぎます。
不動産の登記や賃貸借,に関する事件です。
不動産に関する事件には,次のようなものがあります。
登記請求事件
所有権移転登記や抵当権抹消登記などを求める事件です。手続は,金銭請求事件と同じです。
土地・建物明渡請求事件
賃貸などをしていた土地・建物の返還を求める事件です。手続は,金銭請求事件と同じです。
賃貸借契約に関する事件
賃料の増額・減額を求める事件などがあります。
労働問題に関する事件です。昨年は,使用者側からのご依頼が多くありました。
労働事件の手続には,調停や訴訟などのほかに,労働審判という,訴訟手続を簡略化した手続も利用できます。
労働事件には,次のような事件があります。
解雇事件
勤務先から不当に解雇された際に,解雇の無効を主張する事件です。
賃金に関する事件
正当な給料が支払われていない場合に,払ってもらっていない給料の支払いを求める事件です。
特に,残業代に関しては,トラブルになりがちです。
遺産相続に関する事件です。相続に関する事件には,次のようなものがあります。
遺産分割事件
亡くなられた方の遺産の分配を決める事件です。
基本的には,家庭裁判所の調停で話し合いを行い,話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所の審判手続で分配方法を決めてもらうことになります。
但し,誰が相続人か,何が遺産に含まれるかなどという問題が発生した場合には,別途,地方裁判所で訴訟をする必要があります。
相続放棄事件
亡くなられた方が,財産よりも大きい負債を抱えていた場合などに,プラスの財産を引き継がない代わりに負債も引き継がないという申告をする事件です。
家庭裁判所に申述書を提出します。
遺言書の作成・執行
生前に,遺産の分配方法を決めて遺言書を作成する案件です。
また,遺言作成者がお亡くなりになった後で,遺言書の内容に従って実際に遺産の分配の手続を行うこともあります。
消費者事件
悪徳商法対応や,サービスを受ける契約を中途解約した際に多額の違約金を請求された,などの事案に対応します。
相隣関係事件
土地の境界争いなど,お隣の方との土地の範囲や利用方法に関するトラブルに対応します。
インターネットトラブル
インターネット掲示板の書き込みで誹謗中傷を受けた,などの問題について,書き込みを行った相手の調査や削除要請,損害賠償請求などを行います。
知的財産関係事件
特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権・不正競争行為につき,侵害の差止請求や損害賠償請求を行います。